当記事では機械装置の法定耐用年数の考え方と、どう調べたらよいかを、具体的な例や私が実際に使っているツールを交えてご説明します。
- 生み出す製品やサービスの種類で判定
- 手順1 e-Statで業種名を調べる
- 手順2 耐用年数表から業種名を探す
- 手順3 細目がある場合には、細目を選ぶ
政府統計の総合窓口e-Statと全力耐用年数の組み合わせで、サクッと出来ちゃいますよ。
以下、『耐用年数』とは『法定耐用年数』を意味するものとしてお読み下さい。
なお『機械装置』と『器具備品』の違いについては、こちらの記事を御覧ください。
生み出す製品やサービスの種類で判定する
機械装置の耐用年数は、その機械装置をつかって生み出す製品やサービスが属する業種に応じて判定します。
同じ機械装置であっても、それを使う業種によって耐用年数がことなるためです。
業種による耐用年数の違いを、いろんな現場で活躍するパワーショベルを例にすると、次の図のとおり。
おんなじ機械装置(パワーショベル)でも、使いみちによって耐用年数が変わってしまうんです。
これが、機械装置の減価償却における特徴であり、また難しいところでもあります。
企業の業種で判定するわけではない
中小企業の経理実務において、機械装置の耐用年数は
といった説明がなされることが多いです。
わかりやすさを重視してあえてそう表現されるのですが、ほんとは正確ではありません。
正確には上述したとおり、「生み出される製品やサービス」を基軸に考えるためです。
設備の耐用年数はあくまで「モノの年数」が基本であり、「モノの年数」を求めるためにそれぞれの機械及び装置の資産区分の判定を行うものであることから、基本的には法人の業種で判定するのではなく、その設備がいずれの業種用の設備に該当するかということによって判定することになる。
たとえば砕石業者が社員食堂に設置する厨房機器を取得したとします。この厨房機器は採石業を営むために使われていますので、採石に寄与しているといえばしている。なので厨房機器もパワーショベルと同じ『採石業用設備』として耐用年数6年になるかといえば、なりません。
厨房機器が生み出すのは『食事の提供』というサービスであって、採石ではありませんからね。採石業者であっても、『食事の提供』という最終成果物に着目して、飲食店業用設備(耐用年数8年)と判断します。
手順1 e-Satで業種名を調べる
機械装置の耐用年数判定にあたっては、その機械装置が『なに業用設備』にあたるかを知る必要があります。そこで活躍するのが、政府統計の総合窓口 e-Statです。
政府統計の総合窓口 e-Statへアクセス
日本産業分類を検索できる、コチラのページにアクセスします。
自社の製品・サービスを象徴するワードで検索する
対象となる機械装置が生み出す製品・サービスに関連するキーワードを検索します。例として、以前記事で引き合いに出した『変速機』を製造する機械の業種をしらべます。
変速機にまつわる項目の候補が出てきますので、詳細を確認します。自動車の部品としての変速機であれば『自動車部分品・付属品製造業』が該当しそうです。
詳細を確認して、業種を決める
詳細情報には、項目の説明、該当するものの具体例、該当しないものの具体例が記載されています。
事例の中に変速機製造業がありましたので、コレでよさそうです。
同ページには、産業分類の階層が表示されています。
一番上にある『製造業』は大分類なので、その下の『輸送用機械器具製造業』を業種として選択すればいいと言うことがわかります。
手順2 調べた業種分類を耐用年数表に当てはめる
次に、判明した産業分類名が耐用年数表のどこに該当するものかを確認します。
耐用年数表とは、税金を計算する際に採用する耐用年数の一覧表です。減価償却資産の耐用年数等に関する省令という法律に別表として掲載されています。
ただし、この表はすこし見づらいんです。そこで今回は、別の方法をご紹介します。
全力耐用年数の全耐用年数表へアクセス
以前ご紹介した、耐用年数を検索できるWebサービス『全力耐用年数』
ココに載っている耐用年数表が見やすいので、今回はコチラを使います。
建物から開発研究用固定資産まで、全ての耐用年数表が網羅されています。今回は機械装置が対象なので、『機械及び装置』を選択します。
業種から耐用年数を決定
ズラッと並ぶ業種分類から、お目当てのものを探します。
輸送用機械器具製造業がありました!9年とありますので、これを耐用年数として採用すればオッケー。
もし該当する業種がなければ、一番下の『前掲の機械及び装置以外のもの並びに前掲の区分によらないもの』を参照します。廃棄物処理業などが、ソレに当たります。
手順3 耐用年数表に細目がある場合は、細目を選ぶ
業種名はあるけど、年数が載っていないものもあります。例えば『電子部品、デバイス又は電子回路製造業用設備』
こういったものは、より下位の分類(細目)がありますので、その中から該当するものを選択します。
お疲れ様でした!
▼中古の場合には、さらに計算を加える必要があります。
まとめ
機械装置の法定耐用年数の考え方と、具体的な判定法をご紹介しました。
- 生み出す製品やサービスの種類で判定
- 手順1 e-Statで業種名を調べる
ツール:e-Stat - 手順2 耐用年数表から業種名を探す
ツール:全力耐用年数 - 手順3 細目がある場合には、細目を選ぶ
ツール:全力耐用年数
e-Statは産業分類の他にも、各種統計データが手軽に入手できて便利ですよ!
この記事を書いたひと
- BANZAI税理士事務所 代表税理士。1級ファイナンシャル・プランニング技能士。1982年6月21日生まれ。個人事業主、フリーランス、小規模法人の税務が得意で、一般の方向けにやさしい解説記事を書けるのが強み。詳しいプロフィールはこちら。
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