税理士の伴 洋太郎(ばん ようたろう)@ban_tax240です。
こんな殺伐としたやり取りを耳にしたことはありませんか?
僕はありません。
無いんですけど、心の内では近いことが起きてるんじゃないかと思うんですよ。だってめんどくさいもの、領収書もらってくるの。
それに、根拠もなく「領収書のほうがシッカリした書類だ。」と思われているフシがありませんか?
なんだ、シッカリって。漠然としてんな!
そこで当記事では、『レシートと領収書、経費にするならどっちが必要か問題』に白黒つけます。
レシートと領収書の違いって?
そもそも ”receipt” って、「領収書」をあらわす英単語なわけで。言葉の意味はどっちも同じであるはずなんですけどね。
ま、そこは割り切って、当記事ではレシートと領収書を次のように区分します。
- 宛名や日付、金額、但し書きなどを手書きするのが領収書
- レジスターなどで機械印字されるものがレシート
コント師なのがライスで、漫才師なのが銀シャリ、みたいなことです。
レシートと領収書には、機械印字か手書きかのほか、記載されている内容にも違いがあります。
レシートには購入商品ごとの明細が載っていることが多いですが、領収書には合計金額しか載っていません。
但し書きはありますけどね。「お品代」みたいな。
また領収書には宛名欄がありますが、レシートにはありません。
この点を重要視しておられるようですね、「経費精算にはレシートじゃなくて領収書が必要だ」とお考えの方は。
レシートと領収書 どっちが必要か
結論、どっちでもいい。
手書きの有無や記載内容に違いのある、レシートと領収書。経費にするためにどちらが必要かといえば、どちらでも大丈夫です。
レシートだと経費として認められないとか、領収書じゃなきゃダメといったことはありません。少なくとも税務署への申告にあたっては。
領収書などいらぬ
ただ、領収書っていちいち発行をお願いしなきゃいけないじゃないですか。宛名とか書いてもらうのに手間もかかるし。
面倒だから、レシートで済ましちゃいましょう。
レシートさえあれば、領収書は無くても問題ありません。理由は、宛名がなくても困らないからです。
宛名などいらぬ
領収書がレシートより優れているのは、宛名があるという点です。宛名があれば、宛名人が払ったものだと証明できますからね。
ただし、宛名の記載が法律上求められるものって、かなり限られるんですよ。
大半の場合、宛名は不要
宛名の記載については、消費税法という法律に定められています(消費税法第30条9項1号、消費税法施行令第49条4項)。
これによれば、下記の相手から受け取るレシートや領収書には、宛名が無くてもいいことになっています。
- 小売業、飲食業、写真業、旅行業
- 旅客運送業
- 駐車場業(コインパーキング)
- 上記に準ずるもので、不特定多数の顧客と取引する業種(一般消費者を相手にする業種)
レシートを発行しそうな業種の大半が、上記に含まれています。ということは、大半のレシートや領収書には宛名が不要なんです。
宛名が不要であれば、領収書である必要もないですよね。
宛名が必要でも、請求書や納品書などで確認できればよい
いわゆるBtoB(企業間取引)の場合、宛名が必要になることもあります。
ただし、宛名は領収書で確認しなければならないというわけでもありません。
BtoBであれば、請求書や納品書、検収書などに、宛名の記載があるはずです。そこで確認できれば、それで構いません。
ズルするやつなど絶対にいない。絶対にだっ!
コンビニのレジとかに、不要レシート入れがあるじゃないですか?あれって全部、宛名書いてないんですよねぇ。
ってことはですよ、誰が払ったレシートなのか、わかんないわけですよ。
そんじゃそのレシートを拝借して、自分んとこの経費にしちまえばいいんじゃないかって…。
そんなことしたらダメですからね。絶対に。脱税行為ですから、明らかに。
法律は性善説で作られているんでしょうね。そんなことするやつはいないはずだって。
宛名の記載が厳格に求められていないってことは、そういうことなんでしょう。
むしろレシートがいい。レシート万歳。
絶対にレシートのほうが便利です、領収書より。経理を行うにあたっても、また税務調査に対応するにあたっても。
なぜなら、証明能力が高いからです。
- 購入品の内訳や来店時間、来店人数、お釣りの金額など、情報量が多い
- 手書きじゃないから、改ざんしにくい
というわけで、領収書をわざわざ発行していただく必要はありません。
レシートが出るなら、それをもらっておきましょう。
まとめ
レシートと領収書、経費にするならどっちが必要かについてお話しました。
当記事をご覧になったあなた、自身を持ってレシートを提出しましょう。
この記事を書いたひと
- BANZAI税理士事務所 代表税理士。1級ファイナンシャル・プランニング技能士。1982年6月21日生まれ。個人事業主、フリーランス、小規模法人の税務が得意で、一般の方向けにやさしい解説記事を書けるのが強み。詳しいプロフィールはこちら。
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