税理士試験科目免除のための大学院学費は特定支出控除の対象となるか

税理士の伴 洋太郎(ばん ようたろう) @ban_tax240です。

税理士資格の科目免除のための大学院学費は、特定支出控除の対象にならないのかな?

そうお考えのかたへ向けた記事です。

当記事では、税理士資格取得のための大学院学費と特定支出控除の関係について解説しています。

読んでいただくと、次のようなことがわかりますよ!

税理士資格の取得費用と特定支出控除について
  • そもそも税理士資格取得費用は特定支出控除の対象か
    2013年からは対象になっています。
  • じゃあ免除大学院の学費も対象だよね?
    国税庁は、対象外だと明言しています。

税理士資格の取得費用も「今では」特定支出控除の対象になっています。

以前は対象外だった

サラリーマンが資格取得のために払ったお金は、確定申告の際に費用として申告することができます。

特定支出控除といわれる税制度です

税理士資格の取得のために必要となる費用も、当然に対象です。と、いいたいところですが…。

税理士資格の取得費用がこの制度の対象となったのは、じつは2013年(平成25年)から。それ以前は、業務独占資格の取得費用は、特定支出控除の対象外だったのです。

(ニ)人の資格(弁護士、公認会計士、税理士の人の資格で、法令の規定に基づきその資格を有する者に限り特定の業務を営むことができることとされるものを除く)を取得するための支出で、その支出がその者の職務の遂行に直接必要なものとして給与等の支払者により証明がされたもの。

旧所得税法第57条の2第2項

業務独占資格というのは、ある業務について、それを持ってないとやってはいけいないと法律で決まっている資格のことです。診療行為は医師にしか出来ませんし、税務代理は税理士にしかできません。他にも建築士や社会保険労務士、不動産鑑定士その他諸々があります。

対象外だった理由

そもそも特定支出控除は、「支出を余儀なくされた給与所得者への救済措置」として措置された制度。ですから、独立開業できそうな資格は対象外だったわけですね。

社畜のための制度なんだから、独立開業しそうなやつには使わせねー!

とでも言わんばかりです。国税不服審判所も、同じ趣旨のことを言っています。

控除の対象とされる特定の支出の範囲も、(中略)サラリーマン特有の支出として限定的なものとされている

一転して対象に

ところが2013年に、これが一転します。税制改革によって業務独占資格の取得費用が特定支出控除の対象に含まれることなったです。

就労の多様化等を踏まえ、現在、特定支出の範囲か ら除外されている弁護士、公認会計士、税理士など、法令の規定に 基づいてその資格を有する者に限って特定の業務を営むことがで きる資格の取得費を特定支出の範囲に追加します。

国税庁「免除大学院の学費は認めねー」

よしよし、これで免除大学院の学費を特定支出として還付申告できるぞ!と思いきや、そうもいきません。国税庁が公式見解として

科目免除のための大学院学費は認めねー!

と公言しているためです。

以下は「弁護士資格取得のためのロースクールの学費は特定支出となるか」という質問に対する国税庁の回答の補足として記載されているものです。

会計大学院(アカウンティングスクール)に係る支出については、会計大学院は、それを修了することにより、公認会計士試験の一部科目を免除されますが、法科大学院とは異なり、受験資格を得るための支出ではないため、資格取得費としては特定支出とはなりません。

また、税法や会計学に関する研究により修士の学位を取得するための支出についても、これにより税理士試験の一部科目を免除されますが、同様に資格取得費としては特定支出とはなりません

思うに、国税庁は資格の取得費用を「受験資格を得るための費用」や「受験料」など、資格取得のために不可欠なものに限定して解釈しているのでしょう。ロースクールの学費を特定支出と認める理由として述べている内容から、それがうかがえます。

基本的には法科大学院で一定の学位を取得しない限り司法試験の受験資格が得られず、弁護士の資格を取得するための一般的な手段が法科大学院を修了する方法であると考えられることなどから、法科大学院に係る支出は、資格取得費として特定支出となります

国税庁の公式見解に、法源性(裁判官が裁判を行う際に基準とすべき性質)が無いことは明らかです。見解は見解に過ぎず、法律ではないためです。法律の解釈として、100%正しいとは言い切れないないかもしれません。

とはいえこうした見解が出ている以上、僕ら実務家としては消極的にならざるを得ません。

というわけで、税法免除大学院の学費は特定支出の対象とはならない、という最終結論を導かざるをえないということになります。

正直言って、違和感はあるのですが・・・。
 『「資格取得費としては」特定支出とはならない』ということですので、研修費として特定支出になる余地がある、という理解もできるかもしれません。

まとめ

免除大学院の学費と特定支出控除との関係について、お話しました。

税理士資格の取得費用と特定支出控除について
  • そもそも税理士資格取得費用は特定支出控除の対象か
    2013年からは対象になっています。
  • じゃあ免除大学院の学費も対象だよね?
    国税庁は、対象外だと明言しています。

とにかく「つかえねー!!!」と悪評高い、特定支出控除。税理士資格チャレンジャーにとってもやっぱり、使いづらいものでした。

この記事を書いたひと

伴 洋太郎(ばん ようたろう)
伴 洋太郎(ばん ようたろう)税理士
BANZAI税理士事務所 代表税理士。1級ファイナンシャル・プランニング技能士。1982年6月21日生まれ。個人事業主、フリーランス、小規模法人の税務が得意で、一般の方向けにやさしい解説記事を書けるのが強み。詳しいプロフィールはこちら。
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