税理士の伴@ban_tax240です。
東京では2017年中に37.5億円もの現金が、落とし物として届けられたそう。
過去最高とのことですが、すんごい金額だ。
ところで、現金を拾ったことのあるあなた。
確定申告はしましたか?
今回は拾ったお金と税金の関係についてお話します。
落とし物は届けられた後、どうなる?
警察に届けられた落とし物の行く末は、次の3パターンです。
- 持ち主のもとに返る
- 拾った人のものになる
- 都道府県のものになる
警察に届けられた落とし物については、落とした人を探すために関係機関や事業者などに対する照会調査を行うとともに、警察に届けられた日から3か月間、警察署で保管します。
- 落とした人が判明した場合は、警察から落とした人に連絡して、落とし物を返還します。
- 落とした人が判明しない場合には、保管期間が経過した後の2か月間、拾われた方がその落とし物を受け取ることができます。(受け取る権利を放棄された方等は除かれます。)
- 拾われた方にも引き取られなかった落とし物は、県に所有権が移転し、売却又は廃棄されることになります。
確定申告の必要を疑わなくてはいけないのは、次の2パターンです。
- 持ち主のもとに返る
- 拾った人のものになる
なぜ確定申告が必要なのか
拾い物や謝礼は一時所得だから
所得税や住民税は、10種類ある所得に対してかかります。
所得っていうのは、ざっくりと「利益」とか「得した分」とかいうイメージで構いません。
給料や年金以外に所得がある人は、確定申告しなければならないのです。
この前さ、現金拾ってさ。
持ち主が名乗り出なかったから俺のもんになったんだよね〜。
いやー得したわ。
そう!それそれ!
それこそ所得です。
たまたま、突発的に、1度きり。
税理士や税務署は、こういう得を「一時所得」と呼びます。
国税庁のホームページに例示がありますので見てみましょう。
注目すべきは(5) 遺失物拾得者や埋蔵物発見者の受ける報労金等
自分のものになった場合だけじゃなくて、持ち主から受け取ったお礼も一時所得なんですねえ。
落とし物を拾われた方は、落とした人から、その物件の価格の5%~20%の範囲内でお礼を受け取ることができます。
【重要】50万円以下なら申告不要
しかし落とし物なんてこの世の中にいくらでもあるわけで、いちいち申告していたらキリがありません。
そこで一時所得には
50万円以下だったら申告しなくていい
というルールがあります。
さすがに50万もの大金を拾うことは、生涯通じたって無いでしょう普通。
というわけで通常は確定申告不要なのです。
50万円超えたらどうなる?
一時所得というのは、次の式で計算します。
(拾ったお金 ー 50万円)✕ 1/2
仮に100万円を拾ったとしましょう。
100万円から50万円をひいて、それを半分にしたのが25万円。
そこに税率をかけて税額を出します。
日本ではお金持ちほど高い税率がかけられるのですが、今回の例では最低水準の15.105%で計算しました。
所得税5%、復興特別所得税0.105%、住民税10%の合計です。
100万円拾って96万円が手元に残るなら全然いいですよねえ。
あー拾いたいな100万円。
実際の例
謝礼が5%だとしても500万円ですから、余裕で確定申告が必要です。
結局持ち主は名乗り出ず、拾った方は税金として3,400万円を納付したんだとか。
金銭感覚おかしくなってしまいそう(^_^;)
まとめ
お金を拾って確定申告が必要になるケースをお話しました。
実際申告が必要になるケースはほとんど無いわけですから、雑学程度にご存知いただければ幸いです。
警察へは金額の多少にかかわらず、ちゃんと申告しましょうね。
ネコババはダメ。ゼッタイ。
この記事を書いたひと
- BANZAI税理士事務所 代表税理士。1級ファイナンシャル・プランニング技能士。1982年6月21日生まれ。個人事業主、フリーランス、小規模法人の税務が得意で、一般の方向けにやさしい解説記事を書けるのが強み。詳しいプロフィールはこちら。
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