年末調整の用紙に出てくる「単身児童扶養者」ってなに?
どういう場合に書くの?書くとなんか良いことある?
そうお困りの方へむけた記事です。
当記事ではひとり親の住民税が非課税になる、単身児童扶養者について解説しています。
読んでいただくと、次のようなことがわかりますよ。
- その意味は?
児童扶養手当の支給を受けているひとり親のことです。 - 該当すると、どうなる?
住民税が非課税になります。 - 寡婦(寡夫)との違いは?
婚姻歴の有無、児童手当の支給の有無、子供の有無などで要件が異なります。 - 手続きは?
年末調整や確定申告による自主申請が必要です。
単身児童扶養者とは
単身児童扶養者とは、児童扶養手当(児童手当ではない)の支給を受けているひとり親のことです。
ひとり親(特に女性)は経済的に困窮している例が多く、そうした方を救済の対象とするために設けられた考え方です。
より具体的には、次の要件をすべて満たす方が対象になります。
- 生計を一にする児童がいる
- その児童について、児童扶養手当の支給を受けている
- その児童の合計所得金額が48万円以下である
- 現在、婚姻していない(離婚、死別)か、配偶者の生死が明らかでない
▼「生計を一にする」の意味についてはコチラ▼
なおここでいう「婚姻していない」には、「事実婚状態」は含みません。現に婚姻していなくとも、事実上の妻または夫がいるのであれば、対象にならないということです。
また「配偶者の生死が不明」には、「事実婚のパートナーの生死が不明」も含みます。事実上の妻また夫を失った場合にも対象になるということです。
住民税が非課税になる
単身児童扶養者に該当すると、税金面で優遇をうけられます。
住民税が非課税となるためです。(2021年度から)
非課税ってことは、払わなくていいってことです。
ただし、前年の合計所得金額が135万円を超える場合には、この優遇措置は受けられません。
寡婦(寡夫)との違いは
単身児童扶養者と似たものに、寡婦(寡夫)に対する税制優遇除があります。
寡婦(寡夫)控除と呼ばれるものです。
▼寡婦控除の説明についてはコチラ▼
どちらもひとり親を税金面から支援する制度ですが、その内容は似て非なるものです。
対象となるための要件が違うからです。
より具体的には、次のような点で違いがあります。
- 未婚のひとり親も対象になる
- 児童扶養手当の支給を受けていることが条件
- 子供がいない場合には対象外
- 未婚のひとり親は対象外
- 児童扶養手当の支給を受けているかどうかは関係ない
- 子供がいなくても対象になることがある(寡婦のみ)
なお今後、未婚のひとり親についても、寡婦(寡夫)控除の対象になる可能性があります。
税制改正の検討課題となっているためです。
こどもの貧困に対応するため、婚姻によらないで生まれた子を持つひとり親に対する更なる税制上の対応の要件等について、平成32年度税制改正において検討し、結論を得る。
必要な手続きは
単身児童扶養者の非課税措置を受けるためには、自主的に申請が必要です。
単身児童扶養者に該当するからといって、自動的に非課税となるわけではないからです。
具体的には、次のいずれかの方法で申請しなければなりません。
- 「年末調整」をして、単身児童扶養者の非課税措置を受けるつもりがあることをお勤め先へ意思表示します。
- 「確定申告」をして、単身児童扶養者の非課税措置を受けるつもりがあることを税務署へ意思表示します。
なお、お勤めの方であっても確定申告が必要となる場合もあります。
▼詳しくはコチラ▼
以下、それぞれの手続方法を解説します。
年末調整
年末調整で単身児童扶養者の非課税措置を申請するためには、お勤め先に提出する書類へその旨の記載が必要です。
記載がないと、年末調整が行われる際に「この人は非課税措置を受けるつもりが無いのね。」と判断されてしまうためです。
具体的には、優遇措置を受けようとする2020年(令和2年)分以降の「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」という書類に、次のような項目を記載して申請します。
申請をしておくと、(その年ではなく)翌年の住民税が非課税となります。
- 「該当する場合には左記にチェックを付けてください。」にチェック
- 児童扶養手当証書の番号
- 生計を一にする児童の氏名
- その児童の所得の見積額
↓書き方の例です。参考にしてください。
確定申告
確定申告で障害者控除を申請するためには、「確定申告書」へその旨の記載が必要です。
記載がないと、税金が本来より高く計算されてしまうためです。
確定申告書の「第二表」という書類に、記載すべき欄がある・・・と思います。
当記事執筆時点(2019年11月17日)では、まだ2020年(令和2年)分の確定申告書の様式が公表されておらず、確認できていません。
記載欄があるはず、きっと、たぶん。
まとめ
単身児童扶養者について、解説しました。
- その意味は?
児童扶養手当の支給を受けているひとり親のことです。 - 該当すると、どうなる?
住民税が非課税になります。 - 寡婦(寡夫)との違いは?
未婚のひとり親の場合、児童手当の支給の有無、子供の有無などで要件が異なります。 - 手続きは?
年末調整や確定申告による自主申請が必要です。
児童扶養手当の支給を受けているひとり親の多くが該当するものと思われます。
忘れずに申請なさってください。
この記事を書いたひと
- BANZAI税理士事務所 代表税理士。1級ファイナンシャル・プランニング技能士。1982年6月21日生まれ。個人事業主、フリーランス、小規模法人の税務が得意で、一般の方向けにやさしい解説記事を書けるのが強み。詳しいプロフィールはこちら。
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