税理士の伴@ban_tax240です。
平成28年中に全国で亡くなった方のうち、相続税がかかったのは全体の約8%なんですって。知ってましたか?
これを多いと見るか、少ないと見るか。
私は多いとまでは言わないまでも、少なくはないと思っています。
だって、亡くなった方にはご家族がいるわけですよね?配偶者や子供や孫など。
100人のうち8人でも、その裏には沢山の方が関わるわけです。
大丈夫、大丈夫。うちは関係ないから!
お気持ちはわかります。相続税なんてお金持ちが払うものってイメージがありますもんね。
でもそう言わず、相続税がかかる・かからないのボーダーラインをザックリとでも確認しておきましょう。
遺されるであろうご家族のために。
カギになるのは法定相続人の数です。
相続税を払わなきゃいけないボーダーラインとは
相続税は、亡くなった方が亡くなった時点で一定額以上の財産を遺していたときにかかる税金です。
この一定額というのが、相続税がかかる・かからないのボーダーラインとなるわけです。
次の図をご覧ください。
相続税法では、ボーダーラインのことを基礎控除といいます。
図の例では、財産の金額が基礎控除の額を300万円オーバーしていますね。
この300万円に相続税がかかるわけです。
一方で、相続税がかからないのはこんな時です。
財産額が基礎控除の額を200万円下回っていますので相続税はかかりません。
ところでこのボーダーライン、法定相続人の数が増えるほど上がるんです。
法定相続人の数が多いほどボーダーラインは上がる
法定相続人が多いほど相続税のボーダーラインは上がる(相続税がかかりにくくなる)とお話しました。
それはなぜか。
ボーダーラインである基礎控除額は3,000万円 +(600万円×法定相続人の人数)で計算します。
この計算式の中で、3,000と600は法律で決まっている数字で、動かしようがありません。
かたや法定相続人の数はそれぞれの状況によって違うし、なんなら意図的に増やすことだって出来てしまいます。
結婚したり子供を作ったりですね。
法定相続人ってなんだ
法定っていうのは、法令で決まっているって意味ですね。
相続人というのは、亡くなった方の財産を引き継ぐ人のことです。
ですから法定相続人と言ったら、「法令で決まっている、亡くなった方の財産を引き継ぐ人」なわけです。(そのまんま)
相続人って配偶者と子供でしょ、と思われがちです。
では結婚せず子供もいない人が亡くなった場合はどうですか?
子供のほうが先に亡くなった場合は?
というわけで、法律で決めているのです。
必ず相続人になる人
亡くなった方の配偶者は、必ず相続人になります。
財産目当ての結婚、とかささやかれるケースがありますね。
配偶者であれば絶対に相続人になれるからこそ、言われてしまうわけですな。
配偶者以外には「強さランク」があります
民法では、相続人になれる順位というものが決められています。
配偶者は必ず法定相続人、つまり超最強。殿堂入り。範馬勇次郎です。
それ以外の人には、法定相続人になれる順位というものがありまして、次のとおり。
亡くなった方に子供がいる場合には、配偶者と子供
子供がいない場合には、配偶者と両親
両親もいない場合には、配偶者と兄弟姉妹が相続人となります。
上の順位(強い人)がいる限り、下の順位(弱い人)は相続人にはなれないわけです。
計算例
それでは具体例をつかって、相続人を数えましょう!
パターンは次の3つです。
- 子供がいる
- 子供がいなくて親がいる
- 子供がいなくて親もいない
これらの各パターンには「代襲相続」というオプションがつく場合もあるのですが、今回は省略します。
【第1順位パターン】子供がいる場合
お父さんが亡くなりました。
まず配偶者であるお母さん(1名)は絶対。
そして第1順位であるお子様(黒髪メガネの長男と、茶髪の次男)がいらっしゃいます。
従いまして、この場合には合計3名が法定相続人の数で、相続税のボーダーラインは4,800万円となります。
黒髪長男が亡くなった場合も、対象者は変わりますが人数(配偶者1と子供2)は同様です。
【第2順位パターン】子供がいなくて親がいる場合
不幸にして、親よりも子供(茶髪次男)が先に亡くなってしまいました。
まずは次男の配偶者が絶対。
そして第1順位の(茶髪次男の)子供は…いません。
というわけで、この場合は第2順位の両親(2名)が選ばれて、合計3名です。
【第3順位パターン】子供も親もいない場合
子供(茶髪次男)が亡くなった時点で両親とも既に他界していた場合です。
まずは配偶者が絶対。
第1順位の(茶髪次男の)子供はもともといなくて、第2順位の親も(他界により)いません。
というわけで、第3順位の兄弟(黒髪長男)が選ばれて、合計2名となりました。
まとめ
相続税のボーダーラインについてお話しました。
このように、ご家族の状況によって相続税のボーダーラインは変わります。
同じだけ財産を持っていても、相続税を払わなきゃいけない人もいれば、払わずに済む人もいるわけです。
一応、念の為でいいんです。確認しておくことをおすすめします!
この記事を書いたひと
- BANZAI税理士事務所 代表税理士。1級ファイナンシャル・プランニング技能士。1982年6月21日生まれ。個人事業主、フリーランス、小規模法人の税務が得意で、一般の方向けにやさしい解説記事を書けるのが強み。詳しいプロフィールはこちら。
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