私の受験期間中にこの改正があったら良かったのに、と思いました。
重要な改正がありました。
税理士の伴 洋太郎(ばん ようたろう)@ban_tax240です。
毎年4月の初旬に、その年度の税理士試験に関するスケジュールや試験地など、試験情報が確報されます。そういやそんな時期だなあと気づいて、平成30年度分の試験情報を見てみたところ…
>ランクに代えて、得点(注1、2)を通知します。
ΩΩΩ<な、なんだってー!?
今回は受験生の皆様へのエールを込めて、平成30年度からの税理士試験の改正点についてお伝えします。
平成30年度の税理士試験から変わること
受験料が変わる(増額)
この点は平成29年12月に公表された平成30年度税制改正大綱に明記されていましたので、税理士界隈では周知の事実でした。
税理士試験の受験手数料は、1科目3,500円で、以後受験科目が1つ増えるごとに1,000円が加算される、という方式です。これが1科目4,000円、以後受験科目が1つ増えるごとに1,500円が加算されるというように変更されます。
なんで増額するのかは公表されていませんが、察するに受験者数の減少を穴埋めするためということでしょう。
「需要が減ったんで価格を上げます」ってなこと、一般企業では考えにくいことですよね。
(競合が撤退して市場を独占できているから、とかならまだしも)
モヤモヤするところです。
試験結果通知方法が変わる
こちらが冒頭のお話。ビックリしました。
平成30年改正前の結果通知方法
税理士試験の結果発表は、毎年12月半ばに封書をもって行われます。
そこには、科目合格の場合「合格29」(数字は合格年度をさします)といったように記載されます。逆に不合格の場合にはA〜Dの記載があるのみでした。
改正前の結果通知方法に対してはかねてより批判があった
このA~Dというのは、「不合格ではあるけど、だいたいこれぐらいの点数は取れてたよ!」ということをお知らせする記号です。
かねてよりこの発表方法には反発の声が多くありました。
それは
ということ。
憤りのあまり、三河弁をぶちまけてしまいました。
試験要項では、100点満点中60点をとれば合格であると説明があります。その一方で、結果通知では具体的な点数を教えてくれないことから、多くの疑念を生んでいました。
60点が合格と言っておきながら、実際何点だったか教えないとは何事か!
「出題のポイント」はあてにならない
税理士試験では、試験実施後に「出題のポイント」と題した情報を公開しています。どんな知識をはかる目的でその問題を出したか、という出題者の意図を公表するものです。
ここに模範解答とか配点とかが示されていれば、自分の回答内容と照らし合わせることもできそうなのですが…。
残念ながら、これを読んでもさっぱりわからんのです。「回答用紙にどう書いたら何点もらえるのか」が。
参考までに、平成29年度の法人税法 出題のポイントは次の通りです。
>正しく理解しているかを問うものである。
試験までの1年間、膨大な時間を税理士試験にささげた受験生が、Aランク判定を通知されて思うこと。それは
ということです。
採点基準とか模範解答とかを公表してくれれば、その内容と自身の回答とを比べて、悔しくも納得できるってもんです。納得できないまま、不合格という事実のみを受け入れなければいけない。そんな受験生の気持ちは、私自身経験し、痛いほどにわかります。
B判定以下だと、流石に本人も手応えが無かったと思うんです。問題はA判定です。
本試験に手応えを感じつつ、楽しみに結果発表を待っていたら、まさかのA判定。ありゃ結構キツイものがありますよ、精神的に。
ビックリするほどのことなのか
今回の改正、私個人としてはびっくりする出来事でした。まさか変わると思っていなかったからです。
これまで税理士試験制度に疑念を持つ方から、情報公開法に基づくいくつかの請求が国税庁になされています。
第51回税理士試験財務諸表論の模範解答及び採点基準の分かる文書の不開示決定(不存在)に関する件
本人に係る平成28年度税理士試験採点済み答案用紙(法人税法)の 一部開示決定に関する件
上記の内容としては、「模範解答と採点基準」や「請求者本人の採点済み答案用紙」の開示を求めるものです。結果、これらは請求が退けれらています。
問題ごとの評点を開示することについても、「当該部分を開示することで,税理士試験の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあると認められる」ことを理由に、不開示相当としていました。
それが一転、今回の改正で少なくとも、評点の総合計については開示されることとなります。情報開示の請求をされた方たちの努力が実ったともいえるでしょう。
A判定を下された受験生のみなさまへ
理解度に問題は無いはず
私自身、不合格であったときはすべてA判定でした。ほんっとうに悔しいんですよね、あれ。
幸いにも5科目合格できた結果として感じることですが、理解度という点でA判定と合格との間に差はありません。あるとしたら、試験委員に「理解できている」と思わせるだけの工夫なのかなあと。
たとえばケアレスミスをなくすための手順を設けるというのも、その工夫の1つではないかと思います。
理解度を正しく伝えるために、ケアレスミスをなくす
理論問題で言えば回答の骨格をメモ書きしてから回答するとか、簿記論や財務諸表論の総合計算問題で言えば必ず仕訳をメモ書きしてから試算表へ転記する(転記したらそのメモを消す)とかいったことです。
以下の書籍は、ケアレスミスに悩む方には強くオススメします。僕もこの本のおかげで回答の『型』を確立することができ、ミスがぐっと減りました。僕のときは第1版で、こんなに種類なかったですけどね。
A判定まで行けたのなら、勉強方法が間違っているということは無いはずです。合格まではあともう半歩しかありません。理解度を伝える訓練さえすれば(それがどんな方法であるかは不透明ですが)、必ず良い結果がでると信じましょう。
がんばれ!ほんとがんばれ!!
まとめ
平成30年度税理士試験の改正点についてお伝えしました。
受験者数の減少にテコを入れるつもりがあるのか無いのか、よくわかんないですね。税理士試験が受験生にとって魅力ある試験となるかどうかは、試験制度に頼っていてもしょうがないということでしょう。
私自身がそうであったように、税理士という職業に興味を持たれる方が一人でも増えたらいいなあと、そんな気持ちでこれからも情報発進を続けてまいります。
この記事を書いたひと
- BANZAI税理士事務所 代表税理士。1級ファイナンシャル・プランニング技能士。1982年6月21日生まれ。個人事業主、フリーランス、小規模法人の税務が得意で、一般の方向けにやさしい解説記事を書けるのが強み。詳しいプロフィールはこちら。
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