税理士の伴 洋太郎(ばん ようたろう)@ban_tax240です。

でお馴染み?の越後屋さん。何屋さんなのかは知りませんが、きっと商売人なのでしょう。
彼は悪代官に贈った山吹色の菓子(賄賂)を、経費で落とすことができるのか。
結論は簡単なのですが、わりと真面目に調べてみました。
【結論】経費にはなりません。
残念ながら、名指しで規制されているんです。法律で。

と、ガッツリ書かれちゃってるんですよ。
以下、条文を確認します。
まずは個人事業主の経費について定めている、所得税法の条文がコチラ。
居住者が供与をする刑法(明治四十年法律第四十五号)第百九十八条(贈賄)に規定する賄賂【中略】は、その者の不動産所得の金額、事業所得の金額、山林所得の金額又は雑所得の金額の計算上、必要経費に算入しない。
そして法人の経費(損金)について定めている、法人税法の条文が以下のとおり。
内国法人が供与をする刑法(明治四十年法律第四十五号)第百九十八条(贈賄)に規定する賄賂【中略】は、その内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入しない。
刑法上の賄賂に該当するものは、問答無用で経費にできません。
昔は賄賂も経費になった!?
上記のとおり、法律にハッキリと
と書いてあります。
でもこれ、平成18年の税制改正で追加されたもので、それより前には存在しない条文でした。
以前の取扱い
賄賂というのは、公務員に便宜を図ってもらう目的で金銭などを供与する行為のことです。公共工事の入札に絡んだ贈収賄などは、その定番と言えるでしょう。
特捜部によると、アエルテクノス社員、白木京介容疑者(47)=贈賄容疑などで逮捕=は青木容疑者ら2人から工事の価格情報を入手。青木容疑者は見返りに計約700万円相当の金品を受け取った疑いが持たれている。
支払う側にとっては、売上を獲得した見返りとして(もしくは売上を獲得することを期待して)金品を支払っているのです。そういった点では、バックリベートや紹介手数料とおんなじなのであります。違うのは、それが違法行為であるかどうか、です。
リベートや紹介手数料は経費になります。売上との関連性、必要性がありますからね。では賄賂はどうですか?賄賂だって同じではないかと。
あらたに租税を課し、又は現行の租税を変更するには、法律又は法律の定める条件によることを必要とする。
改正の理由
変化は、平成18年度の税制改正によってもたらされます。
『腐敗の防止に関する国際連合条約』を国内の法制面で担保する措置として、賄賂は経費算入しないこととされたのです。その内容は上述の条文のとおりです。
まとめ
賄賂と税金の関係について、経費になるかどうかという観点でお話いたしました。
ちなみに、収賄側の公務員が受け取った金品には税金がかかります。税法では違法な収入を除外する規定が存在しないためです。
賄賂ダメ、ぜったい。
この記事を書いたひと

- 税理士
- BANZAI税理士事務所 代表税理士。1級ファイナンシャル・プランニング技能士。1982年6月21日生まれ。個人事業主、フリーランス、小規模法人の税務が得意で、一般の方向けにやさしい解説記事を書けるのが強み。詳しいプロフィールはこちら。
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