延長保証に加入したんだど、保証料はどうやって会計ソフトに登録したらいいの?
そうお考えの方へ向けた記事です。
当記事では、仕事用の家電やパソコンの延長保証料、AppleCare+などを支払った場合の経理方法について解説しています。
読んでいただくと、次のようなことが分かりますよ!
- どの勘定科目で登録するか
- 消費税は課税か、非課税か
- 仕訳にするとどうなるか
- freeeへはどう登録するか
- 保証料が少額である場合の簡便的な方法
勘定科目は「修繕費」と「前払費用」のセット
勘定科目は「修繕費」と「前払費用」をセットでつかいます。
修理費、保守料、、維持管理費などを登録するためにつかう科目
お金は支払ったけど、まだサービス提供を受けていない場合につかう科目
どういうことか、詳しく説明します。
【修繕費】修理や保守のための費用を登録する科目
延長保証料を経費にするときは、修理代や維持管理費、保守料などを登録する時に使う「修繕費」勘定を使います。将来の修理や交換にかかる費用を一括前払いしているものと考えられるためです。
例えばiPadにおけるAppleCare+のサービス内容は、次のとおりです。これらを見ても、その実態は保守契約であることがわかります。
- 自然故障時の無償修理(1年間から2年間に延長)
- 無償のテクニカルサポート(90日間から2年間に延長)
- 年2回までの特別料金による修理(追加)
- エクスプレス交換(追加)
【前払費用】いったんプールして、取り崩すための科目
延長保証の期間が複数年にわたる場合には、「前払費用」という勘定科目もセットで使います。支払った金額を全部その年度の経費にせず、一部を翌年度以降に繰り越す必要があるためです。
たとえば個人事業主が、5月にAppleCare+の保証料24ヶ月分、24,000円を一括で支払ったとします。
この場合、保証料を1月ごとに分割して、毎年の経費として割り振ります。
減価償却という制度がありますが、似たような仕組みです。
消費税は課税仕入10%
延長保証料は消費税がかかり、軽減税率は適用されません。保守サービスの対価として、消費税の課税対象になるためです。会計ソフトに登録する際は、消費税区分は「課税仕入」などで、税率は10パーセントで登録します。
おなじ「保証料」と名のつくものでも、銀行借入したときの信用保証料は消費税非課税です。間違えやすいので気をつけましょう。
仕訳の例
延長保証料を支払った場合の経理処理を仕訳であらわすと、以下のようになります。
24ヶ月分の保証料を支払った際の仕訳
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
前払費用 | 24,000 | 普通預金 | 24,000 |
5ヶ月分を取り崩して経費にする際の仕訳
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
修繕費 | 5,000 | 前払費用 | 5,000 |
freeeへの登録方法
freeeを利用している場合には、2ステップに分けて処理します。支払った時と、経費に振り替える時とで、登録方法が異なるためです。
- 保証料として支払う金額を「取引の登録」で登録
- 経費に振り替える金額を「+更新」で登録(アプリを使うと楽です)
以下、それぞれ解説します。
取引の登録
まずは取引として登録します。操作する画面の表示方法は、以下の公式ヘルプを参考にしてください。
備考には支払先と内容を入力します。例えばAppleCare+であれば
などと入力しておけばバッチリです。消費税は、この段階では「対象外」でかまいません。
+更新(アプリを使うと楽)
前払費用に登録した金額を、「+更新」機能をつかって修繕費科目に振り替えます。
操作する画面の表示方法は、以下のヘルプページを参考にしてください。
取引詳細画面の「支出」欄、「+更新」を押して
年度末の日付で、その年度に経費にする金額を登録します。この段階で、消費税の税区分を課税10%で登録します。
各年度分の経費にする金額を登録して、差額がゼロになっていればオッケーです。
さて、ここまで見て
と思った方もいらっしゃることでしょう。そんなあなたには「前受/前払入力アプリ」のご利用をオススメします。
按分期間を設定するだけで、本来なら手動でやらなきゃ行けない作業を自動化できますよ。
【番外編】簡便的な処理方法
家電等の延長保証料と本体代金とを分けて登録せずに、本体代金に含めて登録してしまうこともあります。
少額な延長保証料にまで厳格な経理処理を求めることは、必ずしも妥当でないと考えられるためです。
これは完全に私見ですが、数千円程度の延長保証料であれば、本体代金に含めて経理してしまっても問題ないでしょう。
まとめ
家電やパソコンの延長保証料、AppleCare+などを支払った場合の経理方法について解説しました。
- どの勘定科目で登録するか
- 消費税は課税か、非課税か
- 仕訳にするとどうなるか
- freeeへはどう登録するか
- 保証料が少額である場合の簡便的な方法
この記事を書いたひと
- BANZAI税理士事務所 代表税理士。1級ファイナンシャル・プランニング技能士。1982年6月21日生まれ。個人事業主、フリーランス、小規模法人の税務が得意で、一般の方向けにやさしい解説記事を書けるのが強み。詳しいプロフィールはこちら。
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