『シングルマザーは税金の優遇が受けられるらしい。』
『寡婦控除をうけるためには、どんな手続きが必要なんだろう。』
そうお考えの方に向けて書いています。
本記事では、寡婦控除という「所得税や住民税がやすくなる制度」について解説しています。
読んでいただければ、次のようなことがわかりますよ。
- どんな制度か
離婚や死別などによりひとりで生計を支えている女性を税金面で支援する制度です。 - なぜ税金が安くなるか
収入の一部を、税金の対象外にできるためです。 - どれくらい税金の対象外(控除)にできるか
子供の有無や収入の状況に応じて、27万円または35万円が控除されます(所得税の場合) - 対象となるには
ややこしい条件を表形式にしてわかりやすく解説しています。 - 必要な手続きは
年末調整または確定申告で自主的に申請する必要があります。
寡婦控除とは
寡婦控除とは、離婚や死別などによりひとりで生計を支えている女性を税金面で支援する制度です。
配偶者との離別を経験した女性、特に子を育てる女性は経済的困窮を伴う傾向にあるためです。
なお「控除」という言葉には、「差し引く」という意味があります。
寡婦控除を受けると、一定金額を税金のかかる対象(「所得」といいます)から差し引く事ができるのです。
どれくらいの控除を受けられるか
寡婦控除によって受けられる控除額には、2つのパターンがあります。離別の理由や、子供の有無、所得の状況に応じて控除額が変わるからです。
- 一般の寡婦
27万円(所得税)、26万円(住民税) - 特別の寡婦
35万円(所得税)、30万円(住民税)
どんな方が控除を受けられるか
寡婦控除は、次の3つの要素に応じて適用が受けられるかどうかが決まります。
経済的困窮の程度に応じて、「一般の寡婦」になるか「特別の寡婦」になるかの判定を変えるためです。
- 配偶者との離別の理由
- 扶養親族または子供の有無
- 所得金額
これら3つの要素を組み合わせを表にすると、次のとおりです。
ただ、この要件、結構ややこしいのです。
そのややこしさ加減は、以下の記事で解説しています。
必要な手続きは
寡婦控除を受けるためには、申請が必要です。
寡婦に該当するからといって、自動的に控除されるわけではないからです。
具体的には、つぎのいずれかの方法で申請しなければなりません。
- お勤めの方
「年末調整」をして、寡婦控除を受けるつもりがあることをお勤め先へ意思表示します。 - 個人事業主の方
「確定申告」をして、寡婦控除を受けるつもりがあることを税務署へ意思表示します。
なお、お勤めの方であっても確定申告が必要となる場合もあります。
詳しくは↓コチラ。
以下、それぞれの手続方法を解説します。
年末調整
年末調整で寡婦控除を申請するためには、お勤め先に提出する書類へその旨の記載が必要です。
記載がないと、年末調整が行われる際に「この人は寡婦控除を受けないのね。」ととらえられてしまうためです。
具体的には、「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」という書類に、次のような項目を記載して申請します。
- 「寡婦」または「特別の寡婦」のチェックボックスにチェック
- 配偶者との離別の理由(死別、離婚、生死不明のいずれか)
- 以下の方の氏名と、続柄、その年の所得の見積額
扶養親族
生計を一にする子 - 本人の、その年の所得の見積額
↓書き方の例です。参考にしてください。
確定申告
確定申告で寡婦控除を申請するためには、「確定申告書」へその旨の記載が必要です。
記載がないと、税金が本来より高く計算されてしまうためです。
確定申告書の「第一表」「第二表」という書類に、それぞれ記載すべき欄があります。
- 10「寡婦、寡夫控除」欄
控除額を記載します
- 10~11「本人該当」欄
離別の理由にチェックを入れます
なお確定申告書にはA様式というものとB様式というものがありますが、基本的にはどちらでも同じです。
書き方の例は↓コチラ。
まとめ
寡婦控除について、解説しました。
- どんな制度か
離婚や死別などによりひとりで生計を支えている女性を税金面で支援する制度です。 - なぜ税金が安くなるか
収入の一部を、税金の対象外にできるためです。 - どれくらい税金の対象外(控除)にできるか
子供の有無や収入の状況に応じて、27万円または35万円が控除されます(所得税の場合) - 対象となるには
ややこしい条件を表形式にしてわかりやすく解説しています。 - 必要な手続きは
年末調整または確定申告で自主的に申請する必要があります。
なお年末調整や確定申告で寡婦控除控除をやり忘れてしまっても、5年以内に確定申告(更正の請求)をすれば、取り返しがつきます。
お心当たりのあるかたは、税理士や税務署へ相談なさってください。
この記事を書いたひと
- BANZAI税理士事務所 代表税理士。1級ファイナンシャル・プランニング技能士。1982年6月21日生まれ。個人事業主、フリーランス、小規模法人の税務が得意で、一般の方向けにやさしい解説記事を書けるのが強み。詳しいプロフィールはこちら。
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