「税理士」って、なにする人なの?
そうお考えのかたへ向けた記事です。
当記事では、税理士という職業について、現役税理士である私がわかりやすくざっくりと解説しています。
読んでいただくと、次のようなことがわかりますよ!
- 税理士という職業について
税金のプロとして公に登録されている人のことです。税理士以外の人はやってはいけない仕事があります。平均年齢が高いという特徴があります。 - どうやってなるの?
試験に合格した人、試験を免除された人、弁護士等ほかの国家資格を持っている人などがなれます。 - どんな仕事をしてるの?
税金の計算や節税のアドバイスのほか、税務署とのやり取りの代行や、経理のお手伝いなどをやっています。
税理士という職業について
税理士とは、税金のプロとして税理士会に登録されている人のことをいいます。
税理士だけに許される独占業務
税理士法という法律で、つぎの3つの仕事は税理士だけができると決められています。
- 税務署とのやりとりを本人の代わりにやる
税務代理、という仕事です - 税務署へ出す申告書を本人の代わりに作る
税務署類の作成、という仕事です - 税金に関する相談にのる
税務相談、という仕事です
税理士の資格がない人は、たとえ無料であったとしてもこれらの仕事をしてはいけないこととされています。(無償独占業務、といいます。)
平均年齢が高い
税理士という職業の特徴に、平均年齢が高いことがあげられます。なんと、半数以上が60歳代以上なのです。
これは税理士の従事年数の長さが影響しているものと考えられます。資格に「定年」というものはありませんからね。
また後述のとおり、税務署を定年退職された方が税理士登録しているという事情もあります。
税理士になるには
税理士として税理士会に登録されるためには、登録資格をみたす必要があります。
税理士の登録資格としては、おもに次のようなものが挙げられます。
- 試験合格
税理士試験に合格することです(わたしはコレ) - 試験免除
税理士試験を免除されることです - 他資格の保有
弁護士か公認会計士になる資格がある方には、同時に税理士になる資格も与えられます
試験合格
税理士の試験は、全11科目のうち5科目に合格すると最終合格となります。
- 必ず合格しなくちゃいけない科目
簿記論、財務諸表論 - どちらか1つは合格が必要な科目
法人税法、所得税法 - その他
相続税法、消費税法または酒税法、国税徴収法、住民税または事業税法、固定資産税
試験は1年に1回で、各科目の合格率はだいたい10パーセント程度と、難易度高めの試験です。
合格率10パーセントの試験に5つ受かんなきゃいけないんですから、そりゃあもう大変なんですよ。フルタイムで仕事しながらだと、10年以内に最終合格できれば御の字と言われております(わたしも7年かかりました)。
試験免除
税理士試験の一部または全部を免除されるケースです。こちらは2つのタイプがあります。
- 学識による免除
大学院の修士課程または博士課程を修了し、その学識について国税審議会の認定を受けた方。もしくは教授等として従事した期間が3年以上の方。 - 国税従事による免除
税務署などの官公庁に10年以上従事した方
特に税務署に23年以上勤務した方は指定研修を修了すれば試験を全部免除されるため、税務署を定年退官した後に税理士になられる方が多くいらっしゃいます。
他の国家資格
弁護士または公認会計士になる資格を有する方には、税理士になる資格も同時に与えられます。
全体に占める割合は少ないものの、近年登録者が増え続けています。
税理士の仕事内容
税理士の仕事はおもに上記『税理士だけに許される独占業務』で説明したとおりですが、具体的には次のようなものがあげられます。
- 税金や経理に関するアドバイス
- 会計ソフトの入力代行
- 節税対策の提案
- 申告書の作成・提出代行
税金や経理に関するアドバイス
税金や経理に関する決まり事はとっても複雑で、専門家以外の方にとって理解するのが難しい分野です。
もちろんネット上にはたくさんの情報があるんですが、それがほんとに正しいものなのか、自分にも当てはまるものなのか、判別するのもまた難しいんですよね。
そのうえ、ちょっとしたミスや勘違いによって払う必要のない税金を払うこととなったり、また払う必要のある税金が支払い漏れになってしまうことも多々あるから困りものです。
そこで我々税理士は、お客様の税金や経理に関する疑問・不安をお聞きし、お客様にとって最適な方法をアドバイスしています。
お客様が思い悩んだり、調べたり、考えたりする時間を少しでも減らして、もっと大切なことに時間を使えるようになるためのお手伝いをしているんですね。
節税対策の提案
税金には、条件にあてはまった場合や特定の手続きをした場合にだけ認められる、独別な優遇制度がたくさんあります。
優遇制度を知っている方はそれを上手く利用して、合法的に税金を安く抑えているんですよ。
一方で、その優遇制度は誰かが親切に教えてくれるものではないため、知らなければ知らないで過ぎてしまうケースが多々あります。
そこで税理士は、お客様にとって有効な節税対策を提案し、実行のお手伝いをしているんです。
会計ソフトの入力代行
企業の業績を判断したり、税務署へ提出する書類を作ったりするために、会計ソフトへの入力は欠かせない作業です。
経営者のみなさんは、ご商売の取引を行った都度、会計ソフトへ取引内容を正確に登録していく必要があります。
そのためには、税金や経理に関するルールを知ったうえで、会計ソフトの操作方法も習熟しなければなりません。
一方で、経営者の皆さんは日々業務や意思決定に奔走されており
と思っておられる方も少なくありません。
そこで我々税理士は、お客様に代わって会計ソフトへの入力を代行し、お客様の作業負担を減らすお手伝いもしているんです。
届出書や申告書の作成・提出代行
税務署や県税事務所、市役所などへは、提出しなきゃいけないものが沢山あります。届出書や申告書などと言われるものです。
届出書や申告書の多くには提出期限があって、その期限を過ぎると優遇措置が受けられなくなったり、罰金的なものを支払わされたりします。
というわけにはいかないんですよ。
おまけに書き方を間違えると、払う必要のない税金を余分に支払うことになったり、支払うべき税金を支払い漏れてしまったりします。
そこで我々税理士は、お客様に代わって申告書を作成し、期限内に提出するお手伝いをしております。
作成や提出に関する手間をお客様から奪って、もっと大切なことに時間を使っていただく環境づくりに貢献しているんです。
税務調査への立ち合い
税務調査というのは、税務署の調査官がお客様の税金の計算に誤りがないかチェックされることです。
お客様の会社やお店、ご自宅などに調査官の方がお越しになり、資料の確認や質疑応答をします。
基本的にこのチェックは
という視点で行われるため、多くの方は
と、ドキドキしておられます。
一方で、税務調査官も人の子ですから、事実を誤認したり、税金に関するルールを誤って解釈してしまうことも無くはありません。
そこで税理士は、お客様の代理人として現場に立ち会い、調査官からの質問に応じたり、調査官からの誤った指摘に反論するなどします。
お客様が過度に税金を負担することの無いよう、主張すべきは主張して、お客様の権利と財産を守っているのです。
まとめ
税理士という職業について、現役税理士がざっくりと解説しました。
- 税理士という職業について
税金のプロとして公に登録されている人のことです。税理士以外の人はやってはいけない仕事があります。平均年齢が高いという特徴があります。 - どうやってなるの?
試験に合格した人、試験を免除された人、弁護士等ほかの国家資格を持っている人がなれます。 - どんな仕事をしてるの?
税金の計算や節税のアドバイスのほか、税務署とのやり取りの代行や、経理のお手伝いなどをやっています。
この記事を書いたひと
- BANZAI税理士事務所 代表税理士。1級ファイナンシャル・プランニング技能士。1982年6月21日生まれ。個人事業主、フリーランス、小規模法人の税務が得意で、一般の方向けにやさしい解説記事を書けるのが強み。詳しいプロフィールはこちら。
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