すまい給付金や次世代住宅ポイントの確定申告と住宅ローン控除について

税理士の伴 洋太郎(ばん ようたろう) @ban_tax240です。

すまい給付金や次世代住宅ポイントって、税金がかかるの?

確定申告しなきゃだめ?

そうお考えの方へ向けた記事です。

当記事では、すまい給付金と次世代住宅ポイントの税金上の取扱いについて解説しています。

読んでいただくと、次のようなことがわかりますよ!

すまい給付金と次世代住宅ポイントについて
  • どんなものか
    住宅の取得やリフォームをした人に、お金や商品引換ポイントが与えられるものです。
  • 税金はかかるのか
    一時所得として、税金のかかる対象となります。
  • 確定申告は必要か
    50万円を超える場合には、申告の必要があります(例外あり)。
  • 住宅ローン控除にはなんか関係ある?
    大アリです。「補助金等の金額」として申告する必要があります。

各制度の説明

住宅2

すまい給付金は5→8%の時からつづく増税対策

すまい給付金とは、住宅の取得者に対して国から支給されるお金のことです。

消費税率引き上げに伴って増える住宅取得者の負担を軽減するため、平成26年4月の消費増税時(5%から8%)に導入されました。

金額は10万円、20万円、30万円の3段階あり、所得が少ない人ほど沢山もらえます。

8%から10%への消費増税後には、この3段階が5段階になり、最高額は50万円に引き上げられました。

次世代住宅ポイントは、5→8%の時にかつて存在した制度の復活版

次世代住宅ポイントは、住宅の取得やリフォームを行った者に対して国から発行される、商品と引き換えできるポイントです。

平成26年4月の消費増税時(5%から8%)に「住宅エコポイント」という制度がありました(現在は廃止)。

その諸条件が変更され、消費増税に時期を合わせて復活したのです。

「環境」、「安全・安心」、「健康長寿・高齢者対応」、「子育て支援、働き方改革」に資する住宅の新築・購入・リフォームを行った場合に、ポイント(1ポイント1円相当)が発行されます。

新築や購入の場合には30~35万ポイント、リフォームの場合には30~60万ポイントが付与されることとなっています。

すまい給付金や次世代住宅ポイントは『一時所得』

住宅と手

以下、次世代住宅ポイントの課税上の取り扱いは、かつての住宅エコポイントと同様で有るものとの前提で説明します。

すまい給付金や次世代住宅ポイントは、所得税や住民税の計算上「一時所得」をよばれる所得に該当します。

営利目的でない、一時的である、対価性がない、という一時所得の要件を満たすためです。

一時所得とされる金額と時期
  • すまい給付金
    給付金の振込額が、振込があった年の一時所得になる
  • 次世代住宅ポイント
    ポイントを商品と引き換えたり追加工事の費用に充てたりした金額(1P=1円)が、引き換え・追加工事を行った年の一時所得に含まれる
 後述しますが、すまい給付金については税金がかからないようにする方法もあります。

一時所得の金額は、次の計算式で算出します。

法律の規定とは若干説明が異なりますが、結果は同じになります。

確定申告は必要か

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一時所得の計算結果が0のである場合には、申告は不要です。

所得がないわけですからね。

計算結果が0になるなら、確定申告は不要

さてここで、一時所得の計算式にご注目ください。

マイナス50万円というところがありますね。

輝きを放つ50万円

一時所得の計算式では、50万円まで無条件に差し引くことができます。

と、いうことは。

すまい給付金や次世代住宅ポイントが50万円以下であれば、絶対に一時所得が発生しないのですよ。

以下、計算例でそれを確認しましょう。

すまい給付金、次世代住宅ポイントの計算例

すまい給付金10万円の支給と、次世代住宅ポイントを使って30万円相当の商品をもらった場合の計算例をみましょう。

50万円まで引くことができるので、計算結果は0になる

「収入金額」は、受給額の合計である40万円です。

「収入金額得るために支出した金額」は、支給申請書の郵送費用とか、申請に必要な書類の取得費用などが考えられますが、計算を簡単にするために0円とします。

50万円を引いたら、1円も残りませんよね。ですから一時所得は0円、税金はかからないし確定申告の必要もありません。やったね!

確定申告が必要なパターン

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すまい給付金の受給額と次世代住宅ポイントの利用額の合計が50万円以下であれば、確定申告が必要であることは確認できました。

それでは、確定申告が必要になるのはどんな場合でしょうか?

以下、2つのパターンをご紹介いたします。

申告が必要なパターン
  1. 収入金額が50万円を超える場合
  2. 住宅ローン控除を受ける場合

パターン1 収入金額が50万円を超える場合

すまい給付金と次世代住宅ポイントによる収入の合計が50万円を超えた場合には、確定申告が必要になります

一時所得の計算式が0円にならないためです。

例えば、すまい給付金が40万円と次世代住宅ポイントの利用が30万円相当あったとします。

収入が支出金額を引いた残りが50万円と超えると、一時所得が生じる

引けるのは50万円までなので、20万円の余りが出ますね。
このうち半分の10万円が一時所得の金額となります。
確定申告書に「10万円」と書いて、税務署へ提出せなばなりません。

また、他の一時所得があるため50万円を超えてしまうというケースもあります。
同じく一時所得に該当する『競馬の馬券の払戻金』を例に確認しましょう。

すまい給付金の受給20万円と次世代住宅ポイントの利用30万ポイントがあった年のこと。
競馬で10倍のオッズに1万円を投じ、10万円の払戻を受けました。

競馬の配当金収入からは、馬券の購入費用が引けます

上記例では、収入合計60万円から馬券購入費用1万円と50万円を引いた残りが9万円あります。
この9万円の半分である4万5千円が一時所得となるのです。

貰えるもんは貰っときたいですよね。しかし貰いすぎると確定申告書しなきゃいけない。

めんどくさいですよね~。

申告は必要だけど、すまい給付金には税金がかからない

ここで朗報です。

所得税法では、国や地方公共団体から受ける補助金について一定の条件を満たすものには、一時所得の計算に含めないこととしています

すまい給付金もその対象です。マンモスうれピー!

次世代住宅ポイントは対象外です。

収入金額にすまい給付金を含めなくてもオッケーな特例がある

ただしこの特例、確定申告書に国庫補助金等の総収入金額不算入に関する明細書というものを確定申告書と一緒に税務署へ提出しなければ使えません

税金はとられないけど、申告しなきゃいけないことに変わりないんですよね。

一時所得が20万円未満なら、確定申告を省略できるけど…

なお、給与や年金以外の所得が20万円未満である場合には確定申告を省略できる制度があります。

上記2例はいずれも一時所得の金額が20万円未満ですので、本来は確定申告をせねばらないのですが、やらなくても大丈夫っちゃ大丈夫です。
おめでたマンモス!

ただしこの確定申告不要制度、いろいろと罠がありますのでご注意を。

パターン2 住宅ローン控除を受ける場合

住宅ローン控除をはじめて受ける場合、すまい給付金や次世代住宅ポイントについても申告が必要です

住宅ローン控除の計算のため、給付を受けたすまい給付金や次世代住宅ポイントの金額を確定申告書に記載しなければならない事となっているんです。

次世代住宅ポイントは「利用した金額」ではなく「付与された金額」です。一時所得のときとは考え方が異なります。

国税庁の確定申告書等作成コーナーでも、金額などの入力が求められます。

まず「補助金はあるか?」と聞かれる

どんな補助金をいつ、いくらもらったかを答える

こいつを忘れると、住宅ローン減税の計算が間違ってしまうことがあります。ご注意くださいませ。

まとめ

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当記事では、すまい給付金と次世代住宅ポイントの税金上の取扱いについて解説しました。

すまい給付金と次世代住宅ポイントについて
  • どんなものか
    住宅の取得やリフォームをした人に、お金や商品引換ポイントが与えられるものです。
  • 税金はかかるのか
    一時所得として、税金のかかる対象となります。
  • 確定申告は必要か
    50万円を超える場合には、申告の必要があります(例外あり)。
  • 住宅ローン控除にはなんか関係ある?
    大アリです。「補助金等の金額」として申告する必要があります。

同制度の恩恵にあずかる方の多くは、住宅ローン減税も受けるんじゃないかなと思います。忘れずに申告なさってくださいね!

この記事を書いたひと

伴 洋太郎(ばん ようたろう)
伴 洋太郎(ばん ようたろう)税理士
BANZAI税理士事務所 代表税理士。1級ファイナンシャル・プランニング技能士。1982年6月21日生まれ。個人事業主、フリーランス、小規模法人の税務が得意で、一般の方向けにやさしい解説記事を書けるのが強み。詳しいプロフィールはこちら。
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