税理士の伴@ban_tax240です。
先日ある方とお話していた際に、とても示唆に富んだご質問を受けました。
それが
「派遣会社の掛け持ちをしているんだけど、会社によって税率が違う気がするんだよねえ。」
「メインで勤めているA社のほうが給料は多いけど、税金はB社のが高いんだよ。」
「所得税の税率って収入が高いほど高くなるんでしょ?おかしくね?」
というものでした。
いい質問ですねえ。
今回は、なぜこの質問が深イイのか、そして質問への回答をおつたえします。
どこらへんがイイ質問なのか
計数感覚がイイ
まずもってこの方は、自身の給与明細をしっかり観察しておられます。
そして給与金額と税額を比較し、税金の率をざっくり把握しておられる。
さらにそれを、掛け持ちしている派遣会社間で分析なさっている。
- 観察する
- 率を計算する
- 比較する
というのは、財務分析の基本のキなんです。
車で言えば、走る・曲がる・停まる
野球で言えば投げる・打つ・捕る
そんなレベル。
車の運転や野球は、ルールや方法を教えてもらうからできるんです。
僕は球技苦手ですけどね。教えられてるのに出来ない。
でもこの方はきっと、「分析してやるぜ〜。」なんて意気込んでいないはず。
無意識にやっておられると思うのですよ。
あくまで想像ですけどね
無意識にデキる人ってのは、センスがイイんです。
数字に対するセンスを計数感覚といいます。
それがこの方にはある。
意識しまくっても球がバットに当たらない、そんな僕の野球センスとは大違いです。段ち。
センスを感じるという点で、イイ質問なのですよ。
違うとも、同じとも言えるところがイイ
詳しくは後述しますが。
この質問に対しては
「たしかに税率は会社によって違います。」とも
「いやいや、日本全国どこでも税率は同じですよ」とも答える事ができるんです。
回答しがいのあるイイ質問です。
専門家が忘れがちな素朴な疑問に気づかせていただけるところがイイ
この質問を伺ったときに「なるほどなあ。」と思いました。
それを思うのは通常、質問した側であってされた側ではないはずです。
ではなぜ?。
僕がなるほどと思ったのは、そんな質問が飛んで来ることを予期していなかったからです。
自分にとっては当たり前過ぎて、そこを疑問に感じる方がいらっしゃることを忘れてしまっていたのです。
専門家に対して逆に気づきを与える、イイ質問なんですよ。
加えてこのように、枯渇しがちなブログネタをご提供いただきました。
ありがとうございますっ!!
なぜ会社によって税率が違うのか
税額表の見る場所が違うから
源泉徴収税額表の見方
毎月のお給料から引かれる税金はの金額は、ある表にもとづいて決まります。
それが源泉徴収税額表というものです。
赤い網掛け部分に書いてあるのが、税金の金額です。
例えばひと月のお給料が88,000円から89,000円の間だったとしましょう。
そのとき見るのがここ!
左端に88,000と89,000という数字があります、
お給料の金額(正確には社会保険を引いた金額)がこの範囲だったら、ココを見てねということです。
勤め先にメインとサブがある場合
ところでこの表、お勤め先にメインとサブがある場合、それぞれ見るべき場所が変わります。
メインの会社では130とかいてあるところ
サブの会社では3,200とかいてあるところ
と言った具合です。
どういうことか?
仮に、仮にですよ。
メインの会社とサブの会社で同じ月給88,000円であったとしても
メインの会社では130円しか税金が引かれなくて
サブの会社では3,200円も税金が引かれるということです。
率にすると、メインの方は税率0.14%(=130÷88,000)
サブの方は3.63%(=3,200÷100)
つまり
サブの会社は、サブのくせに妙に税率が高い。
というのは真実であり、また正しい処理なわけです。
最終的には同じになるよ
メインの会社とサブの会社とでは、税率が違うとお話しました。
でも、最終的には一緒になります。
最終的ってなんでしょう?
それをご説明します。
確定申告時に合計するということ
2ヶ所以上でお給料をもらっている場合には、原則的に確定申告が必要なことはご存知でしょうか?
別々のところからもらった給料を合算して、年間合計として税金を計算し直すためです。
複数の会社で別々の税率がかけられていたとしても、結局ガッチャンコして税金の計算をし直します。
なので、最終的におなじであると言うわけです。
まとめ
会社ごとに給料にかかる税金が何故違うのかという質問がなぜ深イイ質問であるかをお伝えしました。
またその質問への回答も。
ちなみにメインとかサブとかは自己申告によります。
なのでお勤め先へ「他にメインの(サブの)仕事があります。」と伝えなければ、どちらもメインである前提で処理されます。
そしてこの自己申告、していない方が大半であるのが実情だったりします(^_^;)
この記事を書いたひと
- BANZAI税理士事務所 代表税理士。1級ファイナンシャル・プランニング技能士。1982年6月21日生まれ。個人事業主、フリーランス、小規模法人の税務が得意で、一般の方向けにやさしい解説記事を書けるのが強み。詳しいプロフィールはこちら。
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