税理士の伴 洋太郎(ばん ようたろう) @ban_tax240です。
障害者控除の対象となる「障害者」について
- どういう場合に「一般の障害者」に該当するか 障害の内容によって決まります
- どういう場合に「特別障害者」に該当するか 一般の障害者のうち、特に障害の程度が重い方が対象になります。
- 該当するかどうか、確認する方法は 手帳や認定書などの資料から確認します
「一般の障害者」の範囲
障害者控除の対象となる「(一般の)障害者」とは、つぎのいずれかに該当する方のことをいいます。障害者の範囲
- 成年被後見人の基準を満たすと診断された方
- 寝たきりで複雑な介護が必要な状態にある方
- 知的機能に障害のある方
- 精神機能に障害のある方
- 身体機能に障害のある方
- 障害者控除対象者認定書をお持ちの方
- 戦傷病者、原爆被爆者の方
1.成年被後見人の基準を満たすと診断された方
成年被後見人は、障害者手帳などの交付を受けていなくても障害者控除の対象となります。 障害者控除の対象となるかどうかの判断基準として 「精神上の障害によりを事理を弁識する能力を欠く状況にある」 ことが法律で定められていますが、これは家庭裁判所から後見の審判を受ける場合の基準と同じだからです。 裁判所の作成した手引によると、「精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く状況」とは、つぎのような状況をいいます。自己の財産を管理・処分できない程度に判断能力が欠けている者,すなわち,日常生活に必要な買い物も自分ではできず誰かに代わってやってもらう必要がある程度の者です。なお現に成年被後見人でなくても、その基準を満たす方(医師の診断書などで判断)は、障害者控除の対象となります。 また65歳以上の場合には、後述する「障害者控除対象者認定書」が発行される場合もあります。
2.寝たきりで複雑な介護が必要な状態にある方
身体の障害により寝たきりの状態で、複雑な介護を必要とする方は、障害者手帳などの交付を受けていなくても障害者控除の対象となります。 「複雑な介護を必要とする」とは、たとえば介護を受けなければ自ら排便などをすることが出来ない程度の状態をいいます。 このような状態が年度末時点で過去6ヶ月以上続いている場合には、障害者控除の対象となります。 なおそのような状況にあるかどうかは、医師の診断書や民生委員の証明書などをもって確認するほか、65歳以上の場合には、後述する「障害者控除対象者認定書」の交付をもって確認することもできます。 ちなみに、要介護認定を受けているかどうかは、障害者控除に影響しません。3.知的機能に障害のある方
知的機能に障害のある方は、障害者控除の対象となります。 児童相談所、知的障害者更生相談所などの判定によって知的障害者とされていることが、障害者を受けられる要件のひとつとなっているためです。 判定の内容は、交付された療育手帳の記載内容から確認します。 なお療育手帳は、地域によっては異なる呼び名がついています。「療育手帳」以外の名称
- 東京都、横浜市 愛の手帳
- 青森県、名古屋市 愛護手帳
- さいたま市 みどりの手帳
4.精神機能に障害のある方
「精神障害者保健福祉手帳」の交付を受けているかたは、障害者控除の対象となります。 この手帳の交付を受けていること自体が、障害者控除を受ける要件となっているためです。 「手帳」といっていますが、自治体によってはカード型のものもあります。5.身体機能に障害のある方
身体障害者手帳の交付を受けている方は、障害者控除の対象となります。 この手帳に「身体障害をもつ人」として記載されていることが、障害者控除を受ける要件となっているためです。 精神障害者保健福祉手帳と同様に、自治体によってはカード型のものもあります。6.障害者控除対象者認定書をお持ちの方
市区町村が交付した障害者控除対象者認定書をお持ちの方は、障害者控除の対象となります。この認定書があれば、各種手帳をお持ちでなくても障害者控除が受けられます。 障害者控除対象者認定書は、精神又は身体に障害のある65歳以上の方のうち、次のどれかに該当することを市区町村が認定した方に交付されるものです。障害者控除対象者認定書の交付対象
- 成年被後見人の基準(上述)をみたす
- 寝たきりで要介護の基準(上述)をみたす
- 療育手帳の交付基準(上述)をみたす
- 身体障害者手帳の交付基準(上述)みたす
7.戦傷病者の方、原爆被爆者の方
以上のほか、つぎの方も障害者控除の対象となります。その他の障害者
- 戦傷病者の方 戦傷病者手帳で確認します。
- 原子爆弾被爆者の方 原子爆弾被爆者健康手帳および厚生労働大臣の認定書で確認します。
「特別障害者」の範囲
一般の障害者のうち特に障害の程度が重い方は、「特別障害者」として控除額が上乗せされます。 特別障害者に該当するかどうかの基準は、障害の内容によってさまざまです。特別障害者に該当する方
- 成年被後見人の基準を満たす方 すべての方
- 寝たきりで複雑な介護を必要とする状態にある方 すべての方
- 知的機能に障害のある方 等級A(療育手帳)、1度または2度(愛の手帳、愛護手帳)、マルAまたはA(みどりの手帳)の方
- 精神機能に障害のある方 等級1の方
- 身体機能に障害のある方 等級1または2の方
- 障害者控除対象者認定書をお持ちの方 特別障害者として認定された方
- その他 戦傷病者のうち、特別項症から第三項症の方 すべての原爆被爆者の方
まとめ
障害者控除の対象となる「障害者」について解説しました。障害者控除の対象となる「障害者」について
- どういう場合に「一般の障害者」に該当するか 障害の内容によって決まります
- どういう場合に「特別障害者」に該当するか 一般の障害者のうち、特に障害の程度が重い方が対象になります。
- 該当するかどうか、確認する方法は 手帳や認定書などの資料から確認します
障害者手帳を持っていないと、障害者控除の対象とならない
と誤解している方がけっこうおられますが、そうとは限らないので注意が必要です。この記事を書いたひと
- BANZAI税理士事務所 代表税理士。1級ファイナンシャル・プランニング技能士。1982年6月21日生まれ。個人事業主、フリーランス、小規模法人の税務が得意で、一般の方向けにやさしい解説記事を書けるのが強み。詳しいプロフィールはこちら。
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