【持続化給付金】開業1年未満の個人事業主の特例について

税理士の伴 洋太郎(ばん ようたろう) @ban_tax240です。

持続化給付金の申請をしたいんだけど、起業したばかりで前年同月の売上ゼロだ…。

ことし創業した事業者は、申請できないってこと?

そうお考えの方へ向けた記事です。

当記事では、開業1年未満(2019年または2020年開業)の個人事業主・フリーランスと持続化給付金の関係について解説しています。

読んでいただくと、次のようなことが分かりますよ!

開業1年未満の個人事業主について
  • 2019年開業のばあい
    2019年の事業収入を月平均した金額で計算する特例が用意されています。
  • 2019年開業だけど2019年中の売上がない場合
    2020年1月から3月までの事業収入を月平均した金額で計算する特例が用意されています。
  • 2020年開業のばあい
    2020年3月までの開業であれば、開業月から3月までの事業収入を月平均した金額で計算する特例が用意されています。

【2019年開業】前年の月平均額で計算できる

2019年1月から12月のあいだに新規開業した個人事業主については、給付金額の計算について特例が認められています

2019年の中途で創業した場合には年間事業収入が少なく、また前年同月の売上が無い場合も想定されるためです。

計算方法

2019年に開業した場合には、つぎの2点について特例計算が認められています

 選択式なので、特例をつかわず通常どおりに計算しても構いません。
2019年中に新規開業した個人の計算特例
  1. 2019年の年間事業収入の計算
    2019年の月平均の事業収入12倍した金額を年間事業収入とします
  2. 売上減少の対象月の前年事業収入の計算
    2019年の月平均の事業収入を用います

以下は、給付金申請フォームの入力例です。

月平均額は2019年の総事業収入を2019年中の操業月数で計算します。

この際、開業した月は日数に関わらず1ヶ月としてカウントします。

追加で必要な資料

個人事業主が2019年開業の特例により申請する場合には、通常の資料に加えて次の2点のどちらかが必要です。

追加で必要な資料(2019年開業個人)
  1. 個人事業の開業・廃業等届出書
    開業日が2019年12月31日以前かつ提出日が2020年4月1日以前である必要があります。
  2. 開業日、所在地、業種、書類提出日の記載がある書類
    上記1がない場合に提出します(給付までに通常より時間を要する場合があります)

なお開業届には、提出日を証明するため税務署受付印が押されていなければなりません(電子申告の場合には、受信通知など)。

また「開業日、所在地、業種、書類提出日の記載がある書類」とは、営業許可申請書や職業団体への加入申請書など例として考えられます。

【2019年開業】2019年中の売上が0の場合は、2020年1~3月の売上で計算できる

2019と双眼鏡
 2020年6月29日以降に申請できる新制度です

2019年1月から12月のあいだに新規開業したものの、2019年中の事業収入がゼロの個人事業主には、特例が認められています。

2019年中に開業届を出しちゃったけど、初売上があがったのは2020年以降

という境遇の事業者を救済するために、追加で支給対象とされました。

計算方法

2019年開業、2019年売上ゼロの個人事業主には、つぎの特例計算が認められています

2019年新規開業、2019年売上ゼロの個人の計算特例
  1. もらえるかどうかの判定
    2020年4月~12月のどこかひと月の売上が、2020年1~3の事業収入の月平均額の半額以下になっていれば支給対象になる
  2. 支給金額の計算
    【2020年1~3の事業収入の月平均額×6】から【2020年4月~12月のどこかひと月の売上×6】を引いた金額(上限100万円)
持続化給付金2019年開業売上ゼロ個人事業の計算例1

追加で必要な資料

個人事業主が2019年開業2019年売上ゼロの特例により申請する場合には、通常の資料に加えて次の資料が必要です。

追加で必要な資料(2019年開業2019年売上ゼロ)
  1. 持続化給付金に係る収入等申立書
    税理士が署名押印したものが必要です
  2. 個人事業の開業・廃業等届出書
    開業日が2019年12月31日以前かつ提出日が2020年4月1日以前である必要があります。
  3. 開業日、所在地、業種、書類提出日の記載がある書類
    上記2.がない場合に提出します(給付までに通常より時間を要する場合があります)

なおこの特例をつかう場合には、通常の申請で必要な「売上台帳」は提出不要です。

持続化給付金に係る収入等申立書

持続化給付金に係る収入等申立書

個人事業の開業・廃業等届出書

個人事業の開業・廃業等届出書

開業届には、提出日を証明するため税務署受付印が押されていなければなりません(電子申告の場合には、受信通知など)。

また「開業日、所在地、業種、書類提出日の記載がある書類」とは、営業許可申請書や職業団体への加入申請書など例として考えられます。

【2020年開業】1~3月開業なら支給対象

 2020年6月29日以降に申請できる新制度です

2020年1月から3月のあいだに新規開業した個人事業主には、特例が認められています。

旧来(2020年6月28日まで)の制度では、2020年開業の個人事業主は申請対象外でした。

そうした事業者を救済にするため、追加で支給対象とされたのです。

計算方法

2020年1月から3月までに開業した個人事業主には、特例計算が認められています

2020年1~3月開業の場合の計算特例
  1. もらえるかどうかの判定
    2020年4月~12月のどこかひと月の売上が、2020年の開業月から3月までの事業収入の月平均額の半額以下になっていれば支給対象になる
  2. 支給金額の計算
    【2020年の開業月から3月までの事業収入の月平均額×6】から【2020年4月~12月のどこかひと月の売上×6】を引いた金額(上限100万円)
持続化給付金2020年開業個人事業の計算例1
持続化給付金2020年開業個人事業の計算例1

追加で必要な資料

個人事業主が2020年開業の特例により申請する場合には、通常の資料に加えて次の資料が必要です。

追加で必要な資料(2020年開業)
  1. 持続化給付金に係る収入等申立書
    税理士が署名押印したものが必要です
  2. 個人事業の開業・廃業等届出書
    開業日が2020年1月1日から3月31日の間かつ提出日が2020年5月1日以前である必要があります。
  3. 開業日、所在地、業種、書類提出日の記載がある書類
    上記2.がない場合に提出します(給付までに通常より時間を要する場合があります)

なおこの特例をつかう場合には、通常の申請で必要な「売上台帳」は提出不要です。

持続化給付金に係る収入等申立書

持続化給付金に係る収入等申立書

個人事業の開業・廃業等届出書

個人事業の開業・廃業等届出書

まとめ

開業1年未満の個人事業主・フリーランスと持続化給付金の関係について解説しました。

開業1年未満の個人事業主について
  • 2019年開業のばあい
    2019年の事業収入を月平均した金額で計算する特例が用意されています。
  • 2019年開業だけど2019年中の売上がない場合
    2020年1月から3月までの事業収入を月平均した金額で計算する特例が用意されています。
  • 2020年開業のばあい
    2020年3月までの開業であれば、開業月から3月までの事業収入を月平均した金額で計算する特例が用意されています。

この記事を書いたひと

伴 洋太郎(ばん ようたろう)
伴 洋太郎(ばん ようたろう)税理士
BANZAI税理士事務所 代表税理士。1級ファイナンシャル・プランニング技能士。1982年6月21日生まれ。個人事業主、フリーランス、小規模法人の税務が得意で、一般の方向けにやさしい解説記事を書けるのが強み。詳しいプロフィールはこちら。
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